ディンプルキーは、これまでのシリンダー錠と比べて高性能で防犯性にも優れる鍵です。ところが複雑な機構ゆえ鍵やシリンダーは繊細で、取り付け交換や修理を専門業者へ依頼したほうが良いケースも多いものです。
かつて一般的に用いられていたディスクタンブラー錠は、解錠時にタンブラーが一列に並ぶ構造であるため、ラインに沿ってタンブラーを揃えるだけで簡単に不正開錠されてしまうものでした。また一般的なピンシリンダーやディンプルキーには小さな穴が並んでいて、それぞれの穴のちょうど良い高さまで、鍵でピンを押し込むことで解錠が可能になる仕組みを持っています。特にディンプルキーは小さな穴が上下以外にも複雑に配されており、従来型のピンシリンダー以上に不正開錠が難しい構造となっています。このようにピッキングが難しく、防犯性能が高いのがディンプルタイプの鍵の特徴です。現在は住宅やオフィスなどの玄関・入り口ドアに利用されるほか、自転車や倉庫などで使用される南京錠にも利用されたシリンダーが市販されており、一般の方でも購入・交換が可能です。
全ての錠前にはそれぞれ耐用年数があります。使用年数が長くなれば必ず消耗・摩耗し、部品交換や修理を行なう必要が出てきます。これはディンプルキーも同様で、消耗しやすい部品はシリンダー内部のものが多くなっています。特にディンプルキーのシリンダーにもちいられる「ピン」は、ディンプルキーを差し込んだ際に持ちあがったり押し下げられたりする、錠前の根本を成す部分です。常に鍵と接触してスライドする構造上、この部分が摩耗や歪みでスムーズに作動しなくなると、いずれ鍵が開かなくなる恐れが出てきます。
使用環境やシリンダーの種類によっても異なりますが、これまでの鍵より精密な作りなため、ディンプルキーの耐用年数は10年程度と比較的短めになっています。鍵に差し込み辛さを感じたり途中で止まるような場合は、既に交換や修理が必要な状態かもしれません。
シリンダーまるごとの交換であれば自分でできる場合もありますが、構造が複雑なため部品交換は一般の方では難しいものです。いずれにせよ交換用部品を入手しなければなりませんので、全く同じものが手に入らない場合には、ご自身での取り付けはあまりお勧めできません。清掃・調整で済む程度であれば、専用潤滑剤で改善できるケースもあります。ただし、プロと異なりシリンダーの消耗具合の見極めができないため、その後どの程度使い続けられるかまでは判断できません。やはり業者へ依頼してしまったほうが安心ではあります。
鍵屋へ修理・取り付けを依頼してしまえば、構造が難しい錠前でも素早く交換できます。もし錠がスムーズににかからなかったり、差し込みづらいと感じるのであれば、いざ鍵が開かなくなってしまう前に修理されることをお勧めします。